学生時代、接客が嫌という理由で
約1年間ファミレスのキッチンでアルバイトをしていました。
振り返ってみれば、得たものも大きかったと思いますが
実は始めてから1か月足らずで辞めようと考えていました。
この記事では、そんなエピソードをご紹介します。
これからアルバイトを始めようと考えている人、
会社やアルバイトを辞めたいと思っている人の助けになれば幸いです。
キッチンの仕事内容
17:00~21:00にシフトを入れていたので、時間に沿って記載していきます。
- 17:00~17:45
トラックで運ばれてきた大量の食材を、
キッチンのウォークイン冷凍庫、冷蔵庫に詰めます。
これがめちゃくちゃ体力が必要で、一瞬で汗だくになるにもかかわらず、
直後冷凍庫で冷やされて体がおかしくなります。
食材も5キロの白米が3,4袋あったり、
ウォークインの棚が高くて持ち上げるのがつらかったりと、
毎日腰を痛めていました。 - 17:45~20:30
ここからはずっとソテー、冷蔵庫、皿洗いを往復します。
僕がバイトしていた店では
・麺類や炒め物を作るソテー
・ハンバーグやチキンを焼く+全体の仕上げ、管理をするグリル
・揚げ物、サラダを作るサラダ
上記の3人(+たまにフロアの人が皿洗い)で回していました。
ピーク時に死を覚悟する
たかが料理だし、マニュアル通りパパっと料理を作っちゃうんでしょ
なんてイメージを持つ人もいるかもしれません。
確かに注文が数件入ったぐらいであれば、
パスタをゆでている間に食材を補充したりということもできます。
しかし、それは平常時の話です。
ピーク時には常に動きっぱなしで、オーダーを受けたときの「ピーピー」という音が
料理の提供を急かすように鳴り響きます。
いまでも飲食店にお客として行っても、
「鳴ってるな…忙しそうだな…」と感じてしまうほど耳にしみついています。
そんなことはいざ知らず、特に忙しい金曜のディナー、土曜のランチを希望してしまった僕は、
これから軽い地獄を目の当たりにすることになります。
社員とのトラブル
バイトにも少しずつ慣れたころ、ディナーで事件がありました。
僕は週に10時間もシフトを入れていなかったため、メニューの食材や調理手順をあまり覚えられず、
料理の提供が大幅に遅れてしまい厨房に立っている最中に叱られてしまいました。
その内容も、「料理を作り始めるときに○○を作りますって言いなさい」という
誰一人としてやっていないことを強いられ、少し理不尽じゃないかと感じました。
言うまでもなく原因は僕にあるのですが、
どうしても続けなくてはいけないバイトでもなかったので、
「ストレスを感じるぐらいであれば辞めてしまおう」と、
調理中ですが叱られた直後にはすでに決めていました。
(こういう決断だけは早いんですよね…)
先輩たちの助け舟
勤務後、もう何も考えたくなかったので「今日はとりあえずすぐに帰ろう」と控室に入ると、
先輩に「すぽれいくん大丈夫?」と声をかけられました。
帰りたい気持ちもありましたが、心配してくれているのを無碍にするのも失礼だと思い、
控室の椅子に座って先輩数人と少し話をしました。
「あんな理不尽なこと気にしなくていいよ」「あの人は少しヤンキー入ってるから」
などとフォローしてもらいましたが、辞める決心はついていたし、
その日は適当なタイミングで家に帰りました。
後日、バイトで一番仲が良かった友達(1歳年下)に「飯行こう」と誘われました。
回る寿司を食べながら話をしていると、
「次のバイト何するの」「年が近い人いないから辞めると寂しい」とかいう話になり、
そこで彼に禁止カードを出されたんですね。
「次何かあったら絶対すぽれいくんの味方に付くって先輩たちが言ってた」
…僕は前世でどんな徳を積んだ人だったのでしょうか。
積極的に会話もせず、特別仲がいい人がいたわけでもないのに、
こんなに気遣われる理由が見つかりませんでした。
僕は「これだけ心強い人がついていれば」という気持ちではなく、
「自分のことを思ってくれている人と一緒にいたい」という理由で、
バイトを続けてみようと思えるようになりました。
その後は社員の人とも話をつけて、事態は丸く収まりました。
決して自分が主体となって克服したわけではありませんでしたが、
続ける理由をなんとか見出すことができました。
辞めなくて良かったこと
3つ、良かったと思えることがあります。
人と話せるようになった
接客以外でしかアルバイトできないと思うほどのコミュ障でしたが、
会話せざるを得ない場所に飛び込んでしまえば、ある程度は話せるようになるものだと実感しました。
生きがいを発見した
バイトを始めた理由というのも、社会人になる前に一回ぐらいはバイトをしておこうという
軽い気持ちだったため、どうしても欲しいものがあるわけではありませんでした。
あるときバイト仲間に一瞬原付バイクを運転させてもらったことがありました。
その瞬間に自分の中にすごい衝撃が走ったのです。
「ただ手首をひねっただけで自転車よりスピードが出る!」と。
バイクなんだから当たり前だと思うかもしれませんが、
「ただ走っているバイクを見るだけ」と「実際に乗ったときの感覚」というのは、全然違います。
バイトを始めなければ生きがいがひとつ欠けていたと思うと、
いい経験だったというより大儲けしたって感じですね。
辛い時期を乗り越えたという経験
人は辛かった経験があると、次の辛い場面で「あれに比べれば」と耐えられるものです。
あのときの自分のおかげでより高い壁を乗り越えられるようになったというのは、
本当に良い経験ができたと思います。
ストレスから見出した逃避の方法
これ、なんぞやと思いますよね。
僕が真剣に病んでいた証拠なのですが、
未来の自分に向けてメッセージを書いていました。
その内容がこちら。
人と話せないほどコミュ障だったのに、まだバイト続けられてるの!?
学校と両立してしかもしんどいこともあったんだって!?
あんた本当に成長したよ!
文章の内容はさておき、「バイトを続けている未来の自分を”彼”として生成して、”彼”を褒める」
ということをしたんですね。というかせざるを得なかったほど追い込まれていました。
社員の人と一悶着あったあとも、忙しさゆえにバイトの前日から不安になったり、
バイト前の空いた時間を楽しく過ごせなかったりと、軽いうつ状態が続いていました。
そしてメモにタイマーを設定して、
それを見返したある時に「あ、自分は褒められるぐらい頑張ったんだな」と思うことにしました。
”同じ辛かった経験をしている他人”に褒められたことが
ただ実情を知らない他人に励まされるよりも何倍も嬉しかったのです。
ただ、これは追い込まれた自分が起こした一種の生存本能による行動であり、
誰かにこの方法がいいよと言われて自然にできるものではないと思います。
僕自身が生きる術をみつけたという話にとどまります。
まとめ
いかがだったでしょうか。
バイトを辞めなくて良かったと思える理由でした。
もちろん辛いことに向き合うことが正解ではないことは往々にしてあると思います。
僕は少しぐらいの人生の糧になりましたが、
辞めた世界線のほうが良かったかもしれません。
ただ、これだけは言えるのですが、
辛い経験を乗り越えた自分というのは、いずれ助けになってくれます。
日々を生きる皆さんの助けになれれば幸いです。
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